うつ病に限らず、精神疾患の治療は薬を使った薬物療法、
気持ちや考え方を整理する精神療法、
病気のきっかけになったような環境の負担をできるだけ少なくする環境調整、
という3つを組み合わせて行います。
薬物療法は、確かに効果のある治療法なのですが、だれにでも効果のある万能の方法ではありません。
うつ病の場合、抗うつ薬をいろいろ工夫しても、薬物療法だけで症状がほとんどなくなる人は6〜7割です。
うつ病の治療は、薬だけでは不十分なことが多いのです。
そのときに役立つのが、認知療法、または、認知行動療法と呼ばれる精神療法です。
薬には副作用がありますが、認知療法のような精神療法にははっきりとした副作用はありません。
そのため、アメリカやイギリスの治療指針では、うつ病が軽いときには薬を使うよりも
認知療法を使う方が良い場合が多いと書かれています。
また、重症のうつ病では、薬物療法と一緒に認知療法を使うと、
薬物療法だけの場合よりも治療の効果が高くなることがわかってるほか、
症状を和らげるだけでなく、再発を減らす効果があることもわかっています。
認知療法の方法を身につけることでストレスに上手に対処できるようになるからでしょう。